半側空間無視の病態と治療について ―モデル動物を用いた基礎研究の知見―
石井 大典(茨城県立医療大学 保健医療学部)
 半側空間無視(Unilateral spatial neglect; USN)患者は日常生活活動に困難をきたし,長期入院を余儀なくされることがあります.しかしながら,現状ではUSNに対する効果的な治療法は開発されていません.その理由の1つとして,USNを呈する患者では脳の損傷部位や大きさが様々で運動麻痺をはじめとした他の症状を併せ持つことが多く,USNの回復機序や治療効果の評価が難しいことが挙げられます.そこで,効果的な治療法を開発するためには,損傷部位や大きさを統制可能な動物モデルの開発が必要です.これまでに開発されたUSNのげっ歯類モデルでは,注意機能に影響を及ぼす主要な脳領域(注意ネットワーク)が同定されています.さらに,様々な課題やオプトジェネティクスなどの技術を用いることで,USNに関連する脳領域の詳細な機能が明らかになってきました.われわれもUSNのモデルマウスを作製し,効果的な治療法の開発を進めています.そこで,本勉強会では既存のUSNげっ歯類モデルを紹介し,同モデルで検証されたUSNの病態や治療法についてお話しします.
半側空間無視の症候と回復過程のより深い理解に向けて
高村 優作(畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター)
 半側空間無視(Unilateral spatial neglect: USN)は脳損傷後に生じる典型的な神経学的症候群の一つであり,損傷半球の対側にある刺激を検出・認識することに支障をきたす.USNはリハビリテーションを進める上でも,運動機能や自立度の改善,退院後の生活などに負の影響を及ぼす問題となる.しかしながら,症候は複雑であり,その適切な理解は難しい.この複雑さの要因としては,USNには様々なタイプが存在すること(サブタイプ・異質性),リハビリテーションの過程において症候が変化すること(回復過程)があげられる.本講演では,主に上記の観点からいくつかの知見を紹介し,USNをより深く理解するための手がかりを提供したいと考える.
半側空間無視事例の運転再開支援
三澤 陵(甲州リハビリテーション病院)
 半側空間無視の有無は,運転再開の可否に大きな影響を与えるといわれている.今回アテローム血栓性脳梗塞により,左半側空間無視を呈したケースに運転再開支援を実施した.シミュレーター訓練等を通じて,気づきが得られ,本人の認識や行動に変化が見られたので,その経過を報告し,USNにおける運転再開支援について理解を深めていきたい.

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